スキル

　つまり、FO4は能力の育成がゲーム的なのに対し、FO3やNVはリアル的…イマーシブと言えよう。我々人類はある日突然（ステータスを振ったら）車やバイクに乗れたり銃でカマドウマを撃ち殺したり異性を誘惑できるようにはできていないのだから。
（まあレベルアップだのスキルポイント振り分けだのも大概非現実的ではあるのだが。）
　だがロールプレイ的な…特に、ゲーム開発者にとり、NPCにS.P.E.C.I.A.L.だけではなくスキルでも味付けができるという…意味ではこのスキル制も有用であり、NPCへの味付けを通して運び屋が特殊な存在であることを浮き彫りにさせる役にも立っている。

　そしてFO4でスキル制が廃止された理由も想像がつく。スキルを噛ませてしまうと（4であそこまで過剰に強調した）SPECIALのありがたみが薄くなり、さらに入植者の管理など複雑なシステムに更なる過負荷とバグを呼び込んでしまうからだ。4で山ほど湧くNPC（特に入植者）に一々スキル値とダメージ計算を設定するなど機械にとっても拷問に近いだろう。
　逆説的に考えると、FO4はFO3やTESシリーズとは明確に"違う"という点を強調する意味でスキル制を廃止したのかもしれない。そういう意味ではNVは「まだ」タムリエルに近いといえよう。

後の作品から移ってきたプレイヤーがまず一番困惑する仕様の違いだと思われる。キャラクターの育成に戦略性が求められ、「レベルが上がったからこのperk」ではなく「このperkを取るためにこのスキル」になっている。またperkの所得にはさらに出現レベルとSPECIALが絡むため全てを把握するのは困難を極める。
4が好きなperkを所得し望むままの将軍を作れるのとは対照的に、好きなスキルを所得しても望んだ運び屋になるとは限らない。もっと言えば最初のSPECIALの割り振り時点でキャラクターの到達点は決まってしまう。
これらの仕様のため一周目を遊ぶ壁はやや高く、逆に二周目以降は遊ぶモチベーションを高めてくれる。周回毎に全く異なる運び屋に仕上がるため、自分で到達点を決めて成長の戦略を決めるという他のゲームでは出来ない楽しみ方がそこにある。

初代Fallout以降、New VegasまでのFalloutシリーズにおいて、主人公のステータスは
・肉体の基礎的な能力（筋力、知覚、持久力、魅力、知力、敏捷、運）を表す「SPECIAL」。
・基礎的な能力を応用し、実践的に使用するための技術を表す「Skill」。
・上2つでは説明できないような特別な力を表す「Perk」。
・先天的な才能を表す「Traits」（3では採用されていない）。
で表現されていた。
Fallout4以降、「Skill」の内容はPerkへと統合されることになってしまい、以降は登場していない。

各スキルは0から100までの数値で表され、それぞれの基礎数値は各SPECIALに割り振ったポイントに基づいて算出される。そこからキャラ作成時のスキルのタグ付け（選んだスキルに15ポイントプラスされる）、Traitsによっても増減する。
レベルが上がるごとにIntelligenceに基づいて得られる「スキルポイント」を割り振って強化することが可能。さらに、スキル本を使用しても恒久的に強化される。

また、スキル雑誌やSPECIALの値を一時的に強化するアイテムで短時間スキルの値を上昇させることが可能。

スキルの一覧は以下の通り。
なお、各スキルの数値計算に使用されるSPECIALも併記しているが、計算には併記されたSPECIAL以外にLuckの値も使用される。
（基礎数値の計算式は2＋（＊×2）＋（Luck/2）［切り上げ］。＊は各スキルに主に影響を与えるSPECIALの値）。

Barter（交易の腕前。アイテム売買の他、スピーチチャレンジにも多用｜Charisma）
Energy Weapons（エネルギー武器の腕前。威力と精度に影響｜Perception）
Explosives（爆発物およびミサイルランチャー等の腕前。威力と精度に影響｜Perception）
Guns（ハンドガンからミニガンまで、一般的な銃器の腕前。威力と精度に影響｜Agility）
Lockpick（鍵開けの技能。25、50、75、100が区切り｜Perception）
Medicine（医療の知識と技術。スティムやRADアウェイ等の効果に影響｜Intelligence）
Melee Weapons（鈍器や刃物の腕前。威力に影響を与え、50以上で特殊攻撃可｜Strength）
Repair（修理の腕前。ニコイチ修理による耐久値の回復量等に影響｜Intelligence）
Science（科学の知識と技術。主にハッキングやクラフトで使用｜Intelligence）
Sneak（忍び寄るための技術。ステルスやスリに影響｜Agility）
Speech（人と会話するための技術。NPCとの会話で多用｜Charisma）
Survival（生存技能。食料や飲料の調理および効果に影響｜Endurance）
Unarmed（拳で戦う腕前。格闘武器の威力に影響し、50、75で特殊攻撃可｜Endurance）

主人公である運び屋のステータスを表す数値の1つ。SPECIALが「肉体の基礎的な能力」を表すなら、スキルは「基礎能力を応用し、実践的に使用するための技術」を表す。

SPECIALとSkillが別の値になっていることは、ロールプレイを行う際に結構便利だったりする。
たとえば、「Charismaが1」の運び屋がいたとする。彼/彼女はおそらく、他人を引きつける生来の魅力（容姿や性格）が薄い人物となのだろう。
しかしそんな彼/彼女でも、人と会話する際に多用されるスキル「Speech」が100（最大）ということはありうる。この場合、彼/彼女は自分の弱点を克服すべく、血のにじむような努力を経て後天的に魅力的な振る舞いを技術として身に着けたということになる。
そんな風に自分の操作する運び屋の個性を想像しながらゲームを進めるのも一興ではないだろうか。