ボクシングジム

ボクシングが今の17階級制になったのは20世紀後半のこと、戦前の階級は今の半分位しかなかったと聞く。
この世界のボクシングは現代の我々がイメージするような階級別の細かい体重制限をクリアするために厳しい減量に耐えながら身体を作るストイックな競技ではないのかもしれない。

恐らくアウトボクシングやディフェンスの技術も未発達、バファウトで増強した筋力にものを言わせて一撃の威力に全てを賭けるワンパンマン決定戦的な競技だったと推測される。

そう考えるとボクシンググローブがパワーフィストと同じモーションでしか殴れないのも納得が行く…というよりそうとでも考えないと納得が行かない。

建物の上部にも同じデザインが掲げられているが、MADDEN'Sの文字の上に
ちょこんと三つ葉クローバーのマークが乗ったのがシンボルマーク。
三つ葉のクローバーはアイルランドのシンボルであるが、何故ボクシングジムに
付いているのかというと、40年代～のボクシング界においてアイルランド系の選手が
打たれ強くガッツがあるという事で人気があった事からだろう。
元々ボクシングの前身になったのはベアナックル（素手）ボクシングだが、
中でもアメリカへと渡ってきたアイルランド人たちはアイリッシュスタンドダウンという
フットワーク等の要素はなく、打つ/打たれるという要素に絞った根性比べみたいな
ルールで好んで行っていた。19世紀後半ごろの事で、その後はスポーツとしての
ボクシングの普及等で廃れるのだが、その後も「アイルランド人はケンカする時はこれ」
みたいな偏見があり、そこから転じてアイルランド人はやたら打たれ強いとか
怒るとすぐこれで決闘しようとするみたいな描写が登場する作品は結構多い。