ガルパーがドロップした快適な枕、どう思う？

ガルパーは死ぬまで成長して最終的にはデスクロー並かそれ以上の大きさに成長するらしいけれど、その健やかな成長の秘訣は快適な枕による良質な睡眠だったんだね。

人間と言うやつは不便なもんらしいですな。眠るのに地面だけでなくベッドと枕とかいう道具が二つも必要だと言うんです。その点ワタシのようなガルパーは木の一本あればぶら下がって寝られますからな、ええ楽なもんです。しかしこのぶら下がって気持ちよく眠っている所を先ほどの人間が叩き落としに来るんですわ。困ったもんでしてな。仕方がないので最近は人間の真似をして地面に寝ておるんですが、いざ寝てみると地面と言うのは硬くていかん。人間が枕を使う気持ちがようやく分かりました。どこぞに枕はないか…ああ、思い出した。すぐそこにあります。さっき人間と一緒に食べて胃袋にありますわ…。(ﾄﾞｯ)
そんな食うか食われるかの私らと人間ですが、人間が私らを狙うのは食べるためではないのだそうです。ご存知の通り人間はスーパーミュータントと同じで何でも食べますがスーパーミュータントと違うのは食べる以外でも色々なものを欲しがって生き物を殺すという、それはもう迷惑な連中でございまして。
その人間が私らガルパーの何が欲しいのか？何だと思います…？油ですわ。私らの油を搾って何かに使うそうでしてな。そんなアホなと私も思いますが、古くは四六のガマと言いまして、ニッポンの筑波山という、ここよりもずっと辺鄙な地の果てまでわざわざ行っては小さなカエルの油を取って来て売っておったそうです。
その噂を聞きつけた島の二人の若者が、私らガルパーの油を売って一儲けしようとアカディアの山を登って来た。
「おいロっつぁん、まだ着かねえのかい」
「急くんじゃねえケンさん。もうすぐだ」

民明書房『二十三世紀落語全集』　第四巻　「波場亭蝦瑠羽の快適なマクラ」