ハーパーの小屋

　小屋の入り口の正面のがけ下を降りて、さらに下ると右手には列車のトンネルとその周辺をうろつくバイパーガンスリンガーが見える。もしここへファストトラベルをしたつもりで、ふと顔を上げた時、爪音とただ事ではない息遣いが聞こえたらつまりはそういうことなのだが、そのときはすぐにPip-boyを開いて覚悟と準備を整えるのが先決である。
　インベントリにGRXや3つ以上のターボが見つかれば、状況が深刻ではないことへの安堵を通り越して今晩の夕食について悩むことさえできるだろう。その2つが見当たらず、しかし自慢の得物とVATSで死線をくぐりぬけてきたのなら、多少の痛みと闘争への武者震いを噛みタバコで抑え、覚悟ができたらドアを開け放つのだ。なけなしの銃器かこん棒程度しか持ってないとわかった時は、スティムパックの数とショートカットリストを確かめて、逃走経路は北北東、前述のガンスリンガー達が通過点だ。こちらが近寄るとグレネードを投げつけてくるが、背後の死神の注意を引いてくれるかもしれない。おぞましい苦痛と恐怖へと向き合う現実を受け入れたのなら、明日へ踏み出そう。
　加速も武器もスティムも何もないと主張したいのなら、それは運命を悟っているが故に、ということだ。見方を変えれば、この終わった世界で呼吸し、歩き、命を繋いでゆくのはある種の懲罰のようなものだ。今、その重荷から解き放たれ、全能たる創造主の下へ帰還する時が来たということである。インベントリにあるものは何でも食べていいし、飲み飽きつつあったサルサパリラがとんでもなく美味く感じられるかもしれない。誰も貴方を急かさない。身をゆだねる気持ちになったら、目を閉じ、腕を下ろして‥‥‥。

死に風の洞窟の北に位置するロケーション。
屋外にキャンプファイヤー、屋内にはロッカー2つ(収納)・作業台・リロードベンチを完備しており拠点に使えなくもないが、玄関からもうデスクローの群れが見える修羅立地のためあまりに人を選ぶ。
もう少し進んだところにアパートが借りられるノバックがあるため、そちらを使った方が無難。

ロケーション名に冠されている「ハーパー」の正体は謎。
死に風の洞窟には無数の遺骨が散らばっているので、彼の死体もその中に混ざっているのかもしれない…