国立隔離無線アレイ

Fallout作品世界におけるラジオ放送、特にpip-boyで受信可能な放送については、その音質からはFM変調の(超)短波帯を、電波の浸透度(大規模な建造物の奥深くの部屋や、地下施設や洞窟などにおいても受信している)からは中波以下の周波数帯を用いているように推測できるが、実態は不明である。

ファウンデーションにおいて、ウォードに報告に来る入植者のセリフの中に「レイダー達が長波で何か通信していた」というものがあるが、長波帯の波長は実にキロメートル単位にも及ぶため、それらの送受信設備も自然と巨大なものとならざるを得ず、少なくともそういった設備はプレイヤーがゲーム内で徘徊可能なエリア内には現存していないため、もしこの入植者の報告が事実であれば、アパラチアのエリア外からの放送・通信ということになる。
もっとも、長波帯の通信であれば受信側も巨大なアンテナを構築しなければ受信すらできないため、これらを受信していたレイダー勢力が実在していると仮定しても、そんな巨大な設備を何処でどのようにして運用しているのか、そもそもそれを傍受したというお前は一体どこの設備でそれを受信できたのか…というツッコミ三昧とならざるを得ず、報告はガセと判断せざるを得ないのが実情である。

一般にアマチュア無線や軍用無線などが用いる短波(HF)帯に対し、それらより相対的に波長の長い周波数帯で交信していた…という意味に汲んでも、少なくとも中波の送信設備もまたそれなりに大袈裟なものとならざるを得ないため、その用途や目的となると推測が難しい。
あるいは、(アパラチア・ラジオのように)レイダー勢力がいずこかの中波(AM放送)の放送局や設備を乗っ取って利用しているという意味かもしれない。

ただ単にレイダー・ラジオの受信報告だったという事であれば…ローズにBCLカードの発行でも申請すれば良いのか？

2103年時点の作品世界における架空のアパラチアの電波状況を考察すると、おそらく当該施設(国立隔離無線アレイ)から見て最も目障りかつ迷惑な存在は、世界の頂上からアパラチア全土に届く出力で24時間送信されているレイダーラジオかと推察される。
また現時点ではその送信所の所在は不明ながらも、同様に24時間体制でアパラチア全土に届いているアパラチア・ラジオもその送信設備は荒れた境域エリアの高所のいずれかに設置されているものと推察されるため、電波望遠鏡から見れば同様に目障りであるという点では大差ないものと思われる。

クラシック・ラジオおよび他の緊急放送等については、詳細は一切不明である(が、いずれにせよsavage divideエリアの何処か、世界の頂上の送信設備の併用が理想的である)。
また各エリアのレスポンダーや市長等からの緊急通信については、エリアを跨ぐことは考えられない用途である点から、少なくとも送信出力についてはこれらのラジオ放送の数分の1以下と推察される。

いわゆる日本語における「ラジオ」受信装置であれば、送信機能は無いため電波望遠鏡の妨害となることは考えづらい(ごく厳密な話になれば、ラジオ受信機の電源や受信回路から漏洩するノイズもゼロではないため、望遠鏡の「稼働中に」パラボラの内側によじ登るなどして使うような真似をされたら堪らないかもしれないが)。
また電波望遠鏡はその設備や敷地も広大となるため、点検や保守作業などの際にはトランシーバーや無線機も当たり前に使われている。

英語におけるradioの語義には送信機能を持つ「無線機」としての意味もある(radioの本来の語義は「放射」であり、電磁波のみならず熱線(光線)や放射線なども含む)ため、送信機が置かれていれば、その周波数帯などによっては問題となるかもしれない。
しかし電波天文学で扱う周波数帯は一般に極超短波帯(ミリメートル以下)からX線や光学などへ至る領域であるため、中～短波帯を用いる無線やラジオ放送と衝突することは無く、これらの送信所直下などの強電界などでもない限り問題は考えにくい。
これら中～短波帯のラジオ放送で用いられる周波数帯の電波は元々地形の稜線などを回折して来るため、山間の地形を遮蔽物として利用した電波望遠鏡でもこれらの存在は織り込み済みであり、設備・敷地内でこれらの視聴が問題となることは考えにくい。

ウエストバージニアに存在するグリーンバンク望遠鏡が元となっていると思われる。
実在の望遠鏡の付近16㎞は天文測定のため電波規制地域に指定されており、携帯電話、テレビのリモコン、電子レンジなどの電波発生機器の使用が制限されている。また、周囲には観測周波数帯の電磁波を吸収するとされる松の木が植えられており、点火プラグでノイズを発するガソリン車も原則禁止、ディーゼルモーター車を使用するという徹底ぶり。
しかしゲーム中の本ロケーションの警備員詰所と思われる小屋ではラジオが置いてあったりと、Fallout世界の運用はわりとザルなようだ。

マップ中央からやや東寄りにある、荒れた領域とクランベリー湿原の間のロケーション。
FT地点右前方には巨大な電波望遠鏡用の可動型パラボラアンテナがあり、左前方には管理施設と思われる2階建ての大きな建物がある。
スーパーミュータントによって占拠されており、管理施設の奥には資材置き場と思われるガレージがある。