グレート・ウォー

そのミサイルの発射元は、中国だのエンクレイブだの、果てはエイリアンだという説までいろいろあるが、二百年たった今では真相は不明である。

2077年10月23日に、突然“どこか”からアメリカへ向け発射された核ミサイルが発端だった。まず午前9時42分、ニューヨークとペンシルベニアへ核ミサイル攻撃、その5分後の午前9時47分、ボストンとワシントンへ核攻撃が行われた。アメリカは報復とし、中国などに核ミサイルを発射し核保有国同士でミサイルが撃ち込まれた。核による破壊は二時間あまり続き、Vaultなどに逃げ込んでいた人は生き延びたもののそうでない人は死ぬか、グールになるかだった。爆発による衝撃で地形や気候は大きく変化した。核爆発の衝撃波によって大気中に放出された放射性下降物、フォールアウトは地上に降り注ぐと共に致死量をはるかに超える超高濃度の放射線を地球にばら撒き、地球上のほとんどの地域は砂漠化し核による灼熱の夏が永久的に続いた。地上の建造物はほとんどが破壊され、陸上はもちろん河川も汚染されたことで生き物のミュータント化が起こった。特にD.C.など主要都市の被害は甚大で、スーパーミュータントの影響や建造物の倒壊もあり地下のメトロを経由しなければ行けない場所もあった。そうして戦前の技術は多くが消滅したものの、それは新たな血塗られた時代の幕開けにすぎなかった。人は、過ちを繰り返す。